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“soul of どんと 2006”
2006年1月27日 NHKホール


 「きら星のようなスターたち」が揃った「どんと紅白」。「紅白」といえば会場はNHKホール。どんとは「紅白歌合戦」を見るのが大好きで(ミュージシャンにならなかったらNHKのディレクターになりたかったそうです)。NHKホールはどんとのゆかりの場所。ここはローザ・ルクセンブルグのデビューのきっかけとなった「NHK-BSヤングバトル」の全国大会の決勝が行なわれた場所。さらには、どんとの憧れの人、ボ・ディドリーと一緒にステージに立った場所。
 ステージには、白馬、波、富士、白梅、鳥、チューリップ、クジラなどが描かれた巨大な金の屏風が3枚立てられ、お祭りの予感をかきたてます。
 開演とともにスクリーンに映し出された約40分のどんとの映像を観て思うのは、(これは毎年思うことだけど)どんとはロックフェスだ、といういうこと。野外のロックフェスで感じる開放的な気持ちが、あの頃、ボガンボスのライヴに行くたびにいつも感じることができた。自由であること。もっと人間は自由になるべきなんだということ。京都の映像なんて奇蹟だ。なんであのとき僕は京都にいなかったんだろう。七回忌ということで、生前のどんとの姿を知らない人も会場には少なからずいたと思う。でも、この映像さえ観れば大丈夫。あとは、どんとの歌を歌い継いでいく人たちがいる。
 映像が終わってスカパラ・ホーンズが登場、ファンファーレを奏でて「どんと紅白」の開幕を告げた。最初にステージに現れたのは、本日の司会を務める竹中直人。赤の巨大なアフロ。登場していきなり、どんとコールである。どんとー! どんとー! どんとー! 観客いきなり総立ち。二階席から観てると、もう上着を脱ぎだしている人がいる。拳をあげてどんとー! 「紅白」なんだからそれぞれの組のキャプテンも必要。kyOnが紹介する。紅組のキャプテンは、天井から降りてきた。「紅どんと」である。当然、会場はさらに沸く。白組のキャプテンも紹介される。降りてきたのは「白どんと」。当然、拍手喝采。宙に浮かんだどんとの二枚の絵が会場を見守る中で、紅白はスタートした。




永井利充岡地曙裕


椎野恭一Leyona


ハナレグミ


YO-KING

 トップバッターは白組の永井利充。第一声は、「Everybody! おめでとー!」。曲は「ポケットの中」。バンドは「ボガンボ・ローザ」だ。続いて紅組の一番手は、身体にぴったりしたピンクのジャンプスーツが“がまんできない”ぐらい“いやらしい”、Leyona。スカパラ・ホーンズも加わってスカにアレンジされた「泥んこ道を二人」。紅白だから紅、白交互に歌合戦となる。白の二番手はハナレグミ。反則技的な美声でレゲエ・アレンジの「Hey Flower Brother」を歌う。YO-KINGは紅組で登場。「どんとさんはいつも楽しそうでした。それを当時、僕はかっこいいと思いました。正しいと思いました」。曲は「夢の中」。竹中直人も「あこがれの地」を朗々たる歌声で歌った。エキセントリックな印象が強いどんとだけど、「夢の中」にしても「あこがれの地」にしても、作る音楽はスタンダード・ナンバーたる風格を持っている。堂々たる名曲ばかり。竹中直人は歌い終わるとすぐにまた司会として出てきた。息をはあはあしながら。トークがとにかくおもしろい。楽器のセッティングをしているスタッフに目を付け、「こうして片づけていらっしゃる方もどんな人生を歩んできたのでしょうか。ちょっとお話を聞いてみましょうか」などと。小嶋さちほもステージへ。どんとと「紅白」、NHKホールとの縁を語る。沖縄時代、どんとと一緒に演奏していたAMANAは、何年前のなんだろう、スクリーンの中のどんと(コザのライヴハウスでの映像)と「坊さんごっこ」をセッションする。

竹中直人
AMANA

Dr.kyOn玉城宏志

 次の、白組kyOnの「魚ごっこ」の間奏にはハナレグミも加わった。紅組、玉城宏志が選んだのはローザ・ルクセンブルグの「ニカラグアの星」。岸田繁もローザ時代の、岸田の故郷でもある京都を歌った「橋の下」をギターを弾きながら歌う。UAは「トンネルぬけて」。UAの呼吸だけで風が騒ぐ。会場の空気が変わる。沖縄からの出演、古謝美佐子はどんとが好きだった沖縄民謡「にーびちすがやー」と、「童神」を届けてくれた。「童神」の間には、「どんとの二人の童神に、どんとの光をあててあげて」と宙に向けて、たぶんどんとに話しかける。宮沢和史は、「つらいとき、先が見えないときによく歌っていた」という「ひなたぼっこ」を歌った。

岸田繁(くるり)UA

古謝美佐子

宮沢和史

YUKI
忌野清志郎

SANDII



 紅組のトリはYUKIの「最後にひとつ」。妖精のような、アイドルのような、裾がふわっとした水色のドレス。白組のトリはどんとが敬愛していた忌野清志郎。はおっていたマントの下は、どんとが『DEEP SOUTH』で着てた赤の格子模様のジャケットに似たスーツ。“星になったのさ”というフレーズが繰り返される「孤独な詩人」を、マントショーをおりまぜながら歌い、会場を熱狂させた。
 「紅白」はここまで。お祭りは大団円に近づいていく。昨年に続き、CANDLE JUNEが背の高いキャンドルを何本もステージに用意する。サンディーのフラが始まる。客席通路にも10数名のダンサーが出てきてフラ。ハワイのチャント。続いての「波」では、イントロで町田康が朗読し、小嶋さちほが歌い、UAも続けて歌う。Leyonaと、どんとの愛息ラキタが加わっての「カリプソちゃん」、そして全員での「どんとマンボ」では町田康と宮沢和史がメインボーカル! 祝祭は最高潮に達した。
 「紅白」だから優勝チームの発表もある。天井から吊された金のくす玉から出てきたのは紅組の優勝を示すものなのか、それとも白組の優勝発表なのか……、それは4月8日にあるというテレビ放送(フジテレビ721、4月8日23時〜24時30分)でのお楽しみに。

(text:Atsushi Sugiyama, photo:Takeshi Dodo)

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